ステップ4
「自分に素直になる」
私はこどもが欲しいと言えた。それが人生を大きく変えた気がする。正確に言えば、不妊治療をやってみたい。と言ったのだ。それは正直な気持ちで、婦人科的にも自然妊娠は難しいと言われ、年齢的にも高齢だから、きっとできないだろうし、でもあの時不妊治療しておけばよかった。と思いたくない気持ちが強くなった。
やれるだけやってだめなら後悔しないと思った。だから助成金とかもしっかり調べて、費やせる金額と、年齢も決めて不妊治療を始めた。
不妊治療をしていなかったら、こどもがいない理由を自己正当化していただろう。
きっと私の人生で最も自己正当化してしまう事柄だと思う。でも不妊治療をすることによって自己正当化ではなく、努力の結果できなかったならそれは他人にも正直に説明できるし、自分にも正直でいられる。
本当はこどもがほしかったのに、別に欲しくなかったし、とか自分に嘘をついてしまったらきっとずっとつらい。
素直になることは現実を大きく変えていくことになる。
私は今のところ大きな自己正当化は思いつかない。日々小さな自己正当化は繰り返しているけど、自己正当化してるな、と気づけるようになった。
素直になれた実感はなくても、今嘘ついてるな、というのはわかるようになった。
恨みが薄らいできたのかもしれない。それはこどもができたことによって夫に感謝の気持ちがわいてきたからだろう。
もしかしたら、「幸せな家庭を築きたい」というのが私の正直な気持ちだったのかもしれない。自分は仕事が好きで、もてなくて、勢いで結婚しちゃっただけ、と言っていたけど、仕事もできるが子どももいる、みたいな人に憧れていた。こどもに恵まれたことも夫との縁だと感じるし、母への攻撃的な気持ちも少し薄まってきた。
こどもという存在が、自己顕示欲をすべてさらってしまった。それは自分はここにいていい、自分は生きていていい、というそれまでの「自分なんていない方がいいんじゃないか」という存在不安を消してくれたからだ。
自分に素直になることは連鎖する。良い方向に向かうとはそういうことだろう。